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Lyα 輝線銀河を用いた銀河形成・進化の観測的研究
私は、銀河周辺のガスのトレーサーとして Lyα 輝線銀河(LAE)周囲のガス(Lyα ハロー)に着目し、その観測的研究をしています。
銀河とその周辺環境の境界である「ハロー」には、銀河間空間からのガス流入や銀河からのアウトフローによるガス流出の収支が反映されると考えられています。そのためハローガスの形状や性質を理解することは、銀河進化を明らかにする上で重要です。観測的なハローガスのトレーサーとしては Lyα 輝線がよく用いられています。Lyα 光子は中性水素ガス中で共鳴散乱をうけます。そのため、淡く広がったハローが Lyα 光子を共鳴散乱すると、ハローの大きさに応じ銀河の星成分より大きな Lyα 輝線の構造が観測されると期待されるためです。この、広がった Lyα 輝線の構造を Lyα ハローと言います。Lyα ハローは非常に淡いガス天体であるため、多数の LAE やライマンブレイク銀河のスタッキング解析によって検出されてきました(※1)。しかし観測とデータ解析に対する要求が厳しいため、Lyα ハローの検出自体にたいし検出・不検出の報告があり混沌としていました。
私はすばる望遠鏡によって検出された大規模な LAE サンプルを用いスタッキング解析を行いました。専攻研究で指摘されていた系統誤差も詳細に検証し、Lyα ハローを確実に検出することに成功しました。検出された Lyα ハローのサイズを測定し、z=2.2-6.6 までの Lyα ハローのサイズ進化を議論しました。詳細は Momose et al. 2014 にまとめています。
※1 スタッキング解析:複数の銀河の画像を足し合わせて淡い成分を検出する解析方法
円盤銀河における星形成活動性の観測的研究
ミリ波/サブミリ波観測で取得される分子ガスの情報から、近傍円盤銀河における銀河の構造(中心核、渦状腕、棒状構造、渦状腕間)と星形成活動性(星形成率、星形成効率、ケニカット-シュミッド則)の関係の観測的研究も行っています。
円盤銀河では、銀河構造毎に働くガスの運動(銀河衝撃波、せん断力)が分子雲形成を制限すると考えられています。そのため、分子雲形成に伴う星形成活動も銀河構造毎に異なる様子が知られています。観測的には、銀河構造でも特に棒状構造と渦状腕において星形成活動性が異なる様子が確認されていますが、単一の銀河内における銀河構造毎での星形成活動性の定量的な検証は行われていませんでした。
そこで私は NGC 4303 という近傍棒渦巻銀河において銀河構造と各構造における星形成活動性の比較を行いました。その結果、星形成率・星形成効率共に棒状構造のほうが渦状腕より2倍程度低く、星形成が不活発であることが判明しました(Momose et al. 2010)。更に、NGC 4303 で見られた星形成活動性の銀河構造毎の違いが円盤銀河において一般的な現象であるかを検証するため、渦巻銀河 10 天体にわたり銀河構造と星形成活動性を比較し、博士論文としてまとめています。博士論文の一部の結果は Momose et al. 2013 に報告しています。